2020.06.11
とある10の物語
-物語が生まれるノートに記す
うつくしき表現者たちのそれぞれの物語-
未 草さん
【 人生を綴るノート vol.1 】
「いつかあなたの人生を記してほしい。」小学校の卒業式の朝、誰もいない廊下で恩師からそっとノートを手渡された。
生きたい人生と実社会との深い溝に苦しみ始めた少年期に「あなたはあなたでいればいい」、ずっとそう言ってくれた人だった。尊敬する人のその言葉と、手渡されたノートは、その後の自分を信じる大きな力となって先の人生を支えてくれた。
あれから30年経ったのこの春。再び人からノートを贈られた。
最初のノートは世界を旅していた時に肌身離さず持ち歩いた。その旅はやがて人生を大きく変えてくれた。新たに受け取った今のノートは、少年期の夢にようやく辿り着いた、理想の土地での日々を記録していこうと思う。
これまでの半生を支えてくれたノートと、ずっと夢見続けてきたこれからの半生を綴るノート。いつか棺に入れて欲しい、2冊の大切な宝物。
まずは、真っ新なこのノートに、絵を描くようにいくつかの色を塗り重ね自分仕様に。さて、これからどんなノートにしていこう。
2020.5.22
Copyright © TAKAYAMA LETTERPRESS All Rights Reserved.