2020.09.30
とある10の物語
-物語が生まれるノートに記す
うつくしき表現者たちのそれぞれの物語-
shandi nivas cafe’ さん
数年前に訪れた南インド、ケララ。
アーユルヴェーダの施設内にある、とあるレストラン。
おそらく普通の観光では辿り着けないであろうこの場所に、運良く案内してもらうことができた。
辺りはヤシの木が生い茂り、白砂の美しいビーチが広がる。人はほとんどいない。
プライベートビーチとして守られているからか、この場所がいかに特別な場所かがわかる。
窓の無い開放的なレストランは伝統的な造りになっており、全てが美しく調和されている。
このレストランのメニューは、海に面していることもあり、魚介類と自家菜園で採れたオーガニック野菜を使用した料理が中心となっている。
迷いながらも、食べたいメニューをオーダーし、食欲をそそるスパイスの香りを楽しみながら料理を待つ。
数分後に運ばれてきた料理は、蓋をされた赤茶色の土鍋に入っている。
私がオーダーしたメニューは、
「シーフードビリヤニ」
簡単に説明すると、インドの炊き込みご飯のようなものだ。
大きな期待と共に食べたその味は、期待を大きく上回る衝撃的な味だった。
蓋を開けた瞬間に広がるスパイスとバスマティライスの香り。魚介の旨みが凝縮されたグレイビー。
美味い!
全てが見事に調和された素晴らしい一品だった。
あの味は今でも鮮明に記憶されている。
思い出すだけで、もう大変なことになる。
あの味を再現し、いつか皆様にも食べてもらいたいと思っている。
私達の次の物語の為に。
その時まで楽しみに取っておこうと思う。
2020.9.28
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